自動車人/黄耀鵬
2021年度のジュネーブモーターショー、早くも6月29日付け、開催の取り消しが決定された。 今年の後半に新型コロナウィルスの感染が沈静化するとの見方があるが、資金不足が故にで取り消しとなった。
資金が不足しているのが主催側だ。ジュネーブ・モーターショーの会場であるPalexpo エキシビションセンターの所有権はジュネーブ市政府に帰属し、運営を担当するPalexpo SAが民間企業だ。 2020年度のモーターショーが取り消したことで主催側に大きな損失をもたらし、その結果、Palexpo SAが「災害レベル」に近い危機に見舞われる事態につないだ。 今年9月までに資金が調達できなければ、同社は経営破綻に直面する状況に陥る。しかし、5月、同社はジュネーブ当局から1770万ドルのローンを拒否した。その理由はPalexpo SAがローンに付随する追加条件を受け入れることができないことだという。
Palexpo SA がローンを拒否するもう 1 つの要因は、ほとんどのクライアントが2021 年に招待には応じないからだ。
現在、比較的に影響力のあるモーターショーのうち、唯一、北京モーターショーが取り消しをせず、延期されたままだ。
新型コロナウィルスの感染がなくても、世界中の主要なモーターショーを走り回ることが自動車メーカーにとって費用対効果は薄れていく。
2019年、年初にデトロイトからジュネーブ、フランクフルト、年末の東京モーターショーまで、効果がますます薄くなっていく。展示会経済が縮小するのは、デフレ時代によるのではなく、情報伝達が安価になった後の副産物だと言える。 東京モーターショーに殺到したベテランジャーナリストたちは、「国際モーターショー」がほぼ「国内モーターショー」に変わりそうだ失望を呈した。 日本の自動車メーカーがフランクフルトモーターショーへの不参加のように、今度、東京モーターショーにはヨーロッパの自動車メーカーの姿がほとんどみえない。
5年前、多国籍企業は5大モーターショーへの参加に熱意が高まっていた。 わずか数年で、全盛期の風景はもはやなくなっている。
5年前に遡れば、このような光景ではない。アメリカのある市長は、展示会経済についてこのように評価した。もし私のシティーで国際会議を開くと、飛行機が私たちの頭の上からドルをばら撒くように言えるという。
展示会による投資対効果の比例が1:9だという見方がある。さらに魅力的なのは、展示会自体が主催都市の名刺にもなる。歴史をもつ大規模なモーターショーは、特にそうだ。 このルールは中国でも同様に機能するため、ほぼすべての一線都市と二線都市では、例外なく独自のモーターショーを持っており、いずれも「国際モーターショー」と名付ける。
しかし、経済の成長は永遠に右型上がりするものではない。新規市場の成長がピークに達すると、「involution」がしばしば言及される用語になる。自動車業界においては、既存市場での競争が白熱化することに相当する。
メーカーは利益が増えなければ、まずは容易に実施できる経費削減から着手する。この場合、単なる労力と金銭の費やしとなる展示会はどうなるか。
モーターショーの人気が落ち込みに対して、CES展は参加者が大勢で人気を呼んでいる。収入が減る年でも、あまり費用がかからないで、「新鮮な」技術をトライしたい意欲を満足できるので、当然のことながら人気を博す。これは経済学で「口紅効果」と呼ばれている。大金がかかる車チェンジは、ポケットマネーが少なくなる中産階級の消費計画上、プライオリティが落ちていく。
従来のモーターショーは衰退しているが、それでもテクノロジーの力によって若返るかもしれない。テクノロジー型企業は、モバイルインターネット時代の次の波を探っている。それはすべてもつながるモノのインターネットになるかもしれない。
これは、情報の配信が迅速かつ分散を意味し、その背後にあるのが情報プッシュ技術だ。すなわち、デジタルフットプリントに基づいて、各視聴者の習慣や好みに合わせて情報を調整することだ。 IoT を使用すると、現場に臨まなくても、IoT技術を使った展示会場から十分かつ多次元な情報を得ることができる。 これはまた、現在のオンライン製品リリースとは根本的に異なる。
経済が回復しても、人山人海の過去型モーターショーは、ますます現在の需要とマッチングしにくくなる。あらゆるモーターショーの主催側として、おそらくこれまでなれてきた領域から抜け出し、新しい方法で顧客や観客を獲得する必要があるだろう。