自動車人/呉毓
ホンダは「シャープ・ミックス」ファミリーで、セダン、SUV、MPVなど、幅広いセグメントをカバーしており、トヨタは「ダブルオプティクス」製品ラインナップで、コンパクト、中型セダン、SUVにフォーカスするほか、石油と電気の混合やプラグインの混合など、さまざまな技術アプリケーションを提供している。 これに対して、日産自動車は依然として内燃機関に頼っており、「乗用車企業の平均燃料消費量」と「新エネルギー車ポイント」のどちらも「応援」が必要なのだ。
日産自動車は6月19日、中国・深圳に本社を置く欣旺達(Sunwoda)と共同で、日産のe-POWER技術を使った車両に搭載する次世代パワーバッテリーを開発すると発表した。 つまり、e-POWER技術を使った新車はまもなく中国市場で発売されることといえる。これを機に、日産は「軒逸(Sylphy)・EV」1車種のみを販売している苦境から脱却できると同時に、トヨタの「デュアルエンジン」やホンダの「鋭・ハイブリッド」と順位を争うことも可能になる。
設立して23も経つ欣旺達(Sunwoda)は、パワーバッテリーのサプライヤーである。同社は2011年に深圳証券取引所のGEMに上場ており、事業領域が3C消費者向けバッテリー、スマートハードウェア、オートメーション、スマートマニュファクチャリングなど多岐にわたる。2019年に売上高が人民元252億4100万元、研究開発費に人民元15億2300万元を投資した。 売上高はセグメント別にまとめると、モバイルデジタル事業が1位、売上比の62.01%を占め、スマートハードウェアが2位、売上比の15.86%を占め、電気自動車のバッテリー事業が2019年度の売上高が8億4900万元、売上比のわずか3.36%だった。
日産自動車は欣旺達(Sunwoda)との提携では、「日産がは電気自動車やバッテリー技術のノウハウを活用し、欣旺達(Sunwoda)の電池開発と生産能力と組み合わせる」と期待を込めている。
日産自動車はe-POWERを使った車両を電気自動車と定義しているが、その本質は、小型排気量内燃機関を搭載した増走型電気自動車だ。 ハイブリッドシステムでは、ホイールは電気モーターと内燃機関によって駆動され、e-POWERシステムでは、内燃機関はバッテリを充電するだけで、ホイールを直接駆動しない。これが典型的な増走型システムだと言える。
増走型電気自動車は、エネルギーの補填速度とエネルギーの獲得利便性において明確な利点を有する。 しかし、中国市場では、増走型電気自動車は「ハイブリッド」のジャンルに分類され、純電気自動車の市場地位を獲得することはできない。ナンバープレートの取得が制限されており、補助金が少ないため、ユーザーにとって体感できるインセンティブが少ないと思われる。 これは、日産がe-POWER車を推進する上での障害となるかもしれない。
産業情報化部の「新エネルギー車の普及と応用に向け、財政補助金政策の改善に関する通知」によると、2020年度には、プラグインハイブリッド乗用車(増走型を含む)の補助金は0.85万元で、電気自動車補助金の最低レベル(純電気航続距離300km以上)の半分をやや上回っただけだ。
いずれにせよ、欣旺達(Sunwoda)との提携により、日産は中国現地におけるバッテリーサプライヤーを擁し、供給距離を短縮し、潜在的な政治的リスクを回避し、自社の独自ニーズに合わせて「完全にカスタマイズ」することができるため、将来の三電システムのコストを削減し、消費者需要にタイムリーに対応できる基盤を築かれるだろう。
日産の電動化戦略の究極の目標は、やはり純電気自動車にあるのだ。e-POWER技術を使った車両が明らかに過渡期の製品だ。 しかし、日産はe-POWER技術を最適化し、中国市場での増走型電気自動車やプラグインハイブリッド車を推進する確率が高い。コスト管理が整えば、トヨタやホンダを上回る競争優位性が期待できる。 これは日産が欣旺達(Sunwoda)と提携した根本的な原因でもある。