自動車人/呉毓
今後、かなり長い期間にわたり、日系の自動車メーカーは、ハイブリッド車を普及させるために、技術を蓄積し、製品ラインナップを充実させていくだろう。電気自動車は、ブランドの長期的な成長における「旗」らしき存在だ。 電気自動車開発経路から見ると、ホンダはよりオープンで実用的な戦略を採用している。プラットフォームアーキテクチャを共有し、研究開発サイクルを短縮するのは「氷山の一角」だ。それに比べて、北米市場やアジア市場において、GMとサプライチェーンを共有できるのは間違いなく「より手頃がよく」、「より先見の明のある」選択肢だ。
ホンダとゼネラル・モーターズ(GM)は、ホンダ自動車向け、新型電気自動車2車種を共同開発することを確認した。 新車種はGMのグローバル電気自動車プラットフォームBEV3を採用する。ホンダは新車種に疑いの余地のないホンダ遺伝子を保有することを保証する。
BEV3は「コストパフォーマンスが高い」、「スタイルが多元化できる」ことを誇るモジュール型アーキテクチャである。 GMのマーク・レス (Mark Reuss)社長は、新しいアーキテクチャの柔軟性について、アイスパレットを使用して次のように説明した。必要に応じて、できるだけ多くの水を入れて、任意の数の氷を作ることができる。 小型の電気自動車では、4つもしくは6つのモジュールを積み重ねることができ、大きな電気自動車は8つもしくは10個のモジュールを積み重ねること検討できるという。
アメリカ系企業の自動車研究開発部門に勤務するエンジニアは、このような連続的にに積み重ねられる構造が車両設計、ボディレイアウト、パワー性能、さらにはスペース拡張にこれまでにない柔軟性を提供できると述べた。
GMのBEV3アーキテクチャは、設計部門とエンジニアリング部門がブランド、セグメントをまたいで新しい車種を開発するためのより高い「権限」を持つ統合アプローチと見なすことができる。 これは、常に保守的な日本の企業が「派閥にとらわれた考え」を打破する意欲を見せた根本的な原因であるかもしれない。 「技術研究」という名とエンジニア文化に誇りを持つホンダにとって、歴史的な一歩を踏み出したと言える。
2018年以来、ホンダの中国合弁会社は引き続き製品ラインナップを充実している。MPVに奥徳賽・鋭・混動（Odyssey Hybrid）と艾力紳・鋭・混動（Elysion Hybrid）、セダンに雅閣・鋭・混動（Accord Sport Hybrid）とINSPIRE・ 鋭・混動、SUVにCR-V・鋭・混動と皓影・鋭・混動（Breeze Hybrid）という製品を続々と導入し、「鋭・混動」ファミリーを確立した。 しかし、電気自動車は、まだホンダの短所だ。
ホンダは「2025年までに中国で20車種以上の電動車を投入する」という中期目標を掲げているが、製品を下支えするのがi-MMDデュアルモーターハイブリッドシステムにとどまっている。 SPORT HYBRID e+、SPORT EVの製品計画があるにもかかわらず、実際に登場する製品が欠如している。VE-1、X-NVなどの理念はあるものの、量産までに至る新車はない。
トヨタと日産はすでに、電気自動車分野では遥かに進んでいる。トヨタはハイブリッドから水素燃料電池まで、完全な産業チェーンをカバーしており、日産はリーフを50万台近く販売し、全世界で走行距離が100億キロ以上の実績がある。 「鋭・混動」はまだ市場優位性とブランドリーダーシップを持っているが、ホンダは「逆水を行く舟」という理屈がわかるだろう。
ホンダにとって、GMとの提携は、短期的には2つの新しい電気自動車を獲得し、純粋な電気自動車のショートボードを補い、中期的には、新しい電気プラットフォームアーキテクチャを共有し、新製品の研究開発サイクルを短縮し、。長期的には、中国市場と北米市場でGMとサプライチェーンを共有し、政治紛争や新型コロナウィルスの感染によるサプライチェーンの寸断リスクを回避できるだろう。
