自動車人/張敏
中国ローカルメーカーの「敷地」が急速に縮小している。
今年の5月、中国国内で自動車の販売台数は291.4万台、前年同月比14.5%増となった。しかし、メーカのすべてがこの市場回復から配当を感じることできるわけではない。中国ローカルメーカーは乗用車市場におけるシェアが34.1％まで下がり、前年同月比2.2%減となった。
1～5月、中国ローカルメーカーは乗用車の販売台数が累計226.4万台、同期比32.5%減となり、乗用車市場における販売台数合計の37.1%を占めており、シェアが同期比2.8%減となった。
SUVセグメントでは、合資メーカーは主導権を奪回しており、ある程度ローカルメーカーのシェアを侵食している。
SUV市場だけでなく、近年来、合資メーカーも徐々ローエンド市場へ進出し、より多くの製品ラインナップを充実したことにより、より幅広い顧客群を囲い込んできた。一汽－VWはさらに独立したブランドのJETTAを以て10万元台位未満の市場を奪い取ることに成功した。かつてこの市場を堅牢に支配していたローカルメーカーがとうとう合資メーカーと向き合い、正面対決しなければならなくなる。
合資メーカーとローカルメーカーの競争における境界線が完全に消えてしまうと同時、消費のアップグレードにより、一部の細分化した市場では、ユーザが高級車ブランドへ流出してしまうことも起こり、ローカルメーカーが生き残るスペースがさらに圧迫されていく。
2018年、ローカルメーカーの市場シェアは2017年度の43.9%から42.1%まで下がり、去年の2019年4月、さらに40%以下まで下落した。
市場の集中度はますます強まっている。2019年度のメーカー各社のシェアを見ると、上位10社は6割のシェアを占めており、順位が20位以降のメーカはそのシェアが1%未満だ。下位メーカーがターンオーバーする可能性は極めて薄いものだ。
販売台数の下落は稼働率の低下にも繋いだ。ローカルメーカーは稼働率が2017年度の66.55%から2019年度の54.01%まで下がった。ローエンド製品を作るメーカーの一部はその製造拠点が市場を奪い取るメーカによって、統合・買収されている。その結果、将来、自動車業界における統廃合が加速するのではと見られる。
合資メーカーの製品がローカルメーカーのシェアを食いつぶす事象の裏側ある要因は、グローバルメーカーが製品、ブランド、コストなどにおける総合的な体系を持ち、尚且つそれを運用する能力が強いことだ。
グローバルメーカーが数十年、百年もの超える歴史に比べ、中国ローカルメーカーが市場への参入は短く、十数年乃至二十年程度のものに過ぎない。既存市場を巡る競争環境の下、無駄を徹底的になくそうとするグローバルメーカーのプレッシャーから、ローカルメーカーは避けては通らない。
「自然的な成長ルールでは、市場が成熟して縮小するのが普通で、中国ローカルメーカーが成功を取るのは逆に奇跡だ」と業界図が『自動車人』に語った。この観点から、中国ローカルメーカーのシェアが縮小したことを客観的に見る必要もある。
VWはアフター合資時代において、自動車企業に対する投資制限の解除を踏まえて、東風を手放し、45億2千万元を投資しJAC社株式の75%を買占めたことや、トヨタはフルパワーに動き出し、自動車の電気化時代に邁進するための運営体制を確立したことなど、グローバルメーカーは中国の自動車に対する投資意欲が明らかなものだ。
なお、業界筋によると、5月では、卸販売の台数が増えたものの、店頭における販売台数が8.1%の減で、店頭在庫が14枚台も増という結果となり、市場は依然に厳しいままである。多くの中国ローカルメーカーにとって、34.1%というシェア率が決して、底辺とは言えず、生き残ることが第一ミッションだろう。
新型コロナが終息後でも、グローバルメーカーが引き続き中国市場へ力を入れることが考えられ、それは、ローカルメーカーの淘汰を加速させ、これらメーカーの構造化された再編を推し進めるものだろう。これはローカルメーカーとグローバルメーカーとの間の競争が進化していくものになる。中国の自動車産業は開放を拡大する環境の中で、最も激しい競争の試練を直面するだろう。
